【保存版】就活生向けの業界研究・企業研究のやり方

今回は『 業界研究・企業研究のやり方 』をまとめます。過去に書いた記事を何度も修正して、アップグレードしました。

管理人が就活時にやっていた業界研究のやり方に加え、当ブログ執筆の上で得たノウハウ、社会人として振り返った際に知りたかったことも追加されているので、就活生は是非参考にして欲しいです。




業界研究・企業研究の目的

業界研究・企業研究の定義が曖昧なので、本記事では、具体的に以下の目的を達成するための情報収集と定義します。

  1. 業界・会社についてザックリ知る
  2. 業界・会社について踏み込んだ内部事情を知る
  3. 自分がその業界・会社で働くという観点から情報を集める
  4. 選考に関する情報を集める

それぞれのやり方注目ポイントは以下の通りです。

① 業界・会社についてザックリ知る

会社のホームページ、決算、ビジネス誌、日経新聞などのニュースのみで行えます。売上や利益といった客観的なデータで企業を分析しましょう。

② 業界・会社について踏み込んだ内部事情を知る

個別説明会、OB訪問、インターンなどで社員から直接話を聞くことで可能です。最近のニュースに対する社員たちの受け止め方、公になっていない業界内の変化など、自分で問題意識を持って情報を聞き出しましょう。

③ 自分がその業界・会社で働くという観点から情報を集める

個別説明会、OB訪問、インターンなどで社員から直接話を聞きましょう。または転職サイトの口コミを見ましょう。社風、残業時間、勤務地、福利厚生・年収など、自分が働くうえで重視する軸に沿って、自分が必要とする情報を集めましょう。

④ 選考に関する情報を集める

合説・個別説明会に参加。採用ホームページを見ましょう。インターンやOB訪問で若い社員の体験談を聞く。知人の内定者から体験談を聞く。就活サイトの選考体験記を読む。リクルーターが付くか、特別な対策が必要な選考があるかといった点を確認するのが重要です。

今回はこのうち、①についてのみ解説します。②については以下のインターンへ行く前の準備のやり方を書いた記事、OB訪問体験記を参考にして深堀するべきポイントをつかんでください。

また③については自己分析について書いた記事を参考に、自分の軸を見つけましょう。

④については、「出遅れた」、「知らなかった」では済まされません。企業が情報をオープンにしてくれるのをのんびり待っていてはダメです。興味を持ったらすぐにONE CAREERや外資就活ドットコムあたりの選考体験記を見てみましょう。

という訳で、ここからは①の「業界・会社についてザックリ知る」を行う方法を解説していきます。

業界・会社についてザックリ知る手順

まずは最低限調べるべきポイントを紹介します。

  1. 業界地図でどの業界に属すのか調べる
  2. 「製品情報」あるいは「事業内容」を見て、何をやっているのか理解する
  3. セグメントの分け方と「製品情報」あるいは「事業内容」を照らし合わせて、何をやっているか整理する、セグメント別売上高比率を調べる
  4. 「業績ハイライト」または「アニュアルレポート」から売上、純利益を調べる

これで「何をやってて、どこが強いのか」をザックリ知ることが出来ます。では、先日飲料大手4社の比較で紹介したキリンを例に、どうやって上記の手順を進めるか見ていきましょう。

① 業界地図でどの業界に属すのか調べる

業界地図というのはこんな本です。似たようなものが何種類かあるが、どれでもそう大差はありません。中身は、こんな感じで結構面白いです。

出典:「会社四季報」業界地図 2021年版(Amazon試読)

これで大まかな業界の様子をつかみつつ、比較するべき企業をピックアップしましょう。キリンの場合、ビールというカテゴリーではサントリー、アサヒ、サッポロと合わせて見るべきです。清涼飲料という観点なら、コカ・コーラ、サントリー、アサヒ、伊藤園あたりまで比較するべきです。

②「製品情報」あるいは「事業内容」を見て、何をやっているのか理解する

キリンと聞けば「キリンビール」やら「キリンレモン」を思い浮かべるでしょうが、意外とキリンだと知らなかった製品があったり、こんなこともやってるんだという発見があります。

キリンの場合、キリンホールディングスの企業ホームページに行き、「企業情報」→「事業内容」と進んで、以下のページにたどり着きます。

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「日本綜合飲料事業」ではお馴染みのジュースや酒が並びますが、「海外綜合飲料事業」、「医薬・バイオケミカル事業」では、「海外でも色んな飲み物を売ってるんだ」とか「医薬系のこともやってんの!?」と意外な発見があるかもしれません

③ 企業ホームページの「投資家情報」へ行き、「セグメント情報」か「アニュアルレポート」を探す。セグメント別売上高比率を調べる

大体キリンがどんなことをやっているのか分かった上で、「IR・投資家情報」→「財務・業績」→「セグメント情報」と行くと、以下のセグメント別売上高比率が見れます。

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キリンの場合、事業内容とセグメントの分け方が同じであり、極めてシンプルに「何をやってて、どこが強いのか」が分かりました。

④「業績ハイライト」または「アニュアルレポート」から売上、純利益を調べる

セグメント情報のちょっと上に「業績ハイライト」という項目があります。ここに行くと以下のような業績データが得られます。

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キリンは親切にも5年分のデータをグラフにしてくれます。不親切な企業の場合は自分でデータをエクセルに打ち込んでグラフ化するしかないです。また、業界内で他社と比較するときも自分でエクセルに打ち込む必要があります。確かに面倒ですが、自分でグラフを作れば理解度は遥かに上がります。しっかり研究したい業界では自分で手間暇かけましょう。サクッと情報を集めたいときは、グーグル検索して(当ブログのような)親切なサイトを探しましょう。

もう一歩発展した業界研究・企業研究のやり方

上記の内容だけだと少し物足りないでしょう。深い業界研究を行うには、以下の手順を実行しましょう。

  1. アニュアルレポートのトップメッセージや社長メッセージを読む
  2. セグメント情報について詳しく読む
  3. 同業他社との違いを考える
  4. 業界に共通する課題を考える

① アニュアルレポートのトップメッセージや社長メッセージを読む

「アニュアルレポートって何やねん」という人はいないことを願いますが、一応説明しておきましょう。アニュアルレポートは、株主向けに毎年会社の情報を公開する報告書です。上場している企業は9割がた出しており、「投資家情報」→「IRライブラリ」と進めばダウンロード出来ます。キリンの場合、「KIRIN REPORT」という名前で出されています。

アニュアルレポートは、就活生より遥かに真剣に企業研究をしている株主たちへしっかり事業報告をするものなので、メチャクチャ詳しい情報が載っています。しかし、いきなり会社も業界も知らない就活生が全部読もうとすると挫折しますし、無駄な情報も多いので、ポイントを絞って読みましょう。

絶対読むべきなのはトップメッセージあるいは社長メッセージです。ここで去年一年間の総まとめと今後の展望が述べられているからです。

② セグメント情報について詳しく読む

再びホームページの「セグメント情報」に戻ると、以下のセグメント別営業利益比率が載っています。

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これを見ると、確かに国内事業は売上は出ているものの、儲かってはおらず、医薬・バイオケミカル事業は、規模は大きくないが利益に貢献していることがわかります。

また、KIRIN REPORTの75ページにはブラジルキリンについて解説があり、営業利益が赤字であると分かります。さらに「キリン ブラジル」とグーグル検索すれば以下のようなニュース記事がヒットするので、より詳しくどういう経緯があったのかわかります。

③ 同業他社との違いを考える

ここまでやってきたようなことを冒頭でピックアップした比較対象の同業他社でも行えば、自ずとそれぞれの違いが浮かび上がってくるでしょう先日の記事では、ビールシェア、清涼飲料販売シェア、海外売上高比率という点で4社を比較しました。

また、各社のセグメントをよく見てみると、サントリーの外食やハーゲンダッツ事業、サッポロの不動産事業など、事業を多角化しているのが垣間見えます。こういったバランスのとり方も比較ポイントになります。

④ 業界に共通する課題を考える

飲料業界が直面する課題として「日本は人口減で市場縮小」とか「若者の酒離れ」などはすぐに思い付くでしょう。では具体的にキリンがどう対策をしているのかというと、KIRIN REPORTの7ページに以下のような図が描いてあります。

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  • 成長市場の取り込みとしてミャンマーを攻める
  • 医薬・バイオケミカルを育てて多角化
  • 成熟市場ではマーケティング勝負

ということがわかります。他社はどのように共通の課題に対応しているのだろうか?「サントリーもアサヒも海外の会社を買収してたよな。キリンとどう違う戦略なんだろう?」、「キリンは47都道府県のビールを出してたけど、他社のマーケティングはどうなっているのだろう?」などなど問題意識はいくらでも湧いてくるです。

ここから先が最初に紹介した業界研究・企業研究の4つの目的のうち、2つ目の「② 業界・会社について踏み込んだ内部事情を知る」につながっていきます。

まとめ

業界研究・企業研究のやり方 』をまとめました。長くなったので最後におさらいしておきましょう。繰り返し説明しているのは、内容はコンパクトですが、深い思い入れがあるためです。

業界研究・企業研究の4つの目的

  • 業界・会社についてザックリ知る
  • 業界・会社について踏み込んだ内部事情を知る
  • 自分がその業界・会社で働くという観点から情報を集める
  • 選考に関する情報を集める

上記のうち、①の進め方【基本編】

  1. 業界地図でどの業界に属すのか調べる
  2. 「製品情報」あるいは「事業内容」を見て、何をやっているのか理解する
  3. セグメントの分け方と「製品情報」あるいは「事業内容」を照らし合わせて、何をやっているか整理する、セグメント別売上高比率を調べる
  4. 「業績ハイライト」または「アニュアルレポート」から売上、純利益を調べる

さらに踏み込んで調べる手順

  1. アニュアルレポートのトップメッセージや社長メッセージを読む
  2. セグメント情報について詳しく読む
  3. 同業他社との違いを考える
  4. 業界に共通する課題を考える

自分がやりたいことを見つけるために、そしてビジネスの理解度で他の就活生に差をつけるために、企業研究はしっかり行うべきです。「各就活サイトの編集部が総力をあげてお届け」してくれる薄っぺらい業界研究記事だけ読んで満足してるようではダメです(ゼロから始めるときの導入くらいにはなりますが)。自分で手を動かして、頭を使って考えることで賢くなります。確かに大変ですが、必ず大きなリターンが得られるので、ぜひ頑張ってください。

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『【保存版】就活生向けの業界研究・企業研究のやり方』へのコメント

  1. 名前:GIT 投稿日:2020/11/20(金) 20:19:58 ID:cd8f169c1 返信

    志望業界なので、地味に助かります。参考にします。