【OB訪問体験記】~2人の若手商社マンの仕事内容・年収・残業・金言~

今回は とある総合商社でOB訪問したときの体験記 』を当時のメモを元に書きます。

とある商社ってのは、銅が強くて、数年前にシェルガスでやらかした会社です。数年間熟成させていたため情報の鮮度が落ちていますが、身バレの心配なくメモの内容を余すことなく晒します。




一人目の商社マン

2年目の爽やかなお兄さんって感じの社員。人事や経理みたいな完全なバックオフィスではないですが、営業部の中にあるバックオフィス的な部署に所属しています。

仕事内容は?

実際に客前に出る営業ではありません。営業をサポートするための資料の調査、社内の調整をやっている社員です。若手でも社内の調整ではお偉いさん相手に仕事をすると言ってました。社内にどういった人がいるか把握し、キーパーソンに働きかけて動かす力が必要とされるそう。

仕事はチーム単位で行うらしく、40くらいの課長クラスをリーダーとして若手から中堅まで年代別に満遍なくいる8、9人のチームと言ってました。チームの仲はよいらしく、いつも一緒に昼ご飯を食べたり、OB訪問の前日は40くらいのリーダーの人とサシで飲んでいたそうです。

このチーム制という点は商社での働き方の重要なポイントでしょう。今後商社のインターン選考の記事でも書きますが、商社の仕事は一人では出来ません。説明会でもホームページでも表面的な華やかなビジネスの説明しかしないので、就活生は“世界を飛び回り商談に挑む商社マン”なイメージを妄想してしまいがち。

実際はまだまだ縦割り要素が強く、個人の仕事は細かく分業化された地味な作業の連続です。また、同期で悩んでいる人はチームリーダーとの折り合いが悪いそうです。「“そうごうしょうしゃ”に入れば人生バラ色~」というミーハーな就活生はOB訪問で苦労している人の話もしっかり聞いておきましょう

みんなが知りたい商社マンの年収と残業

2年目にトータル750万くらい貰えたと言ってました。ただし貯金はゼロらしいです。寮の同期は仲がいいらしく、週末に温泉やらゴルフに行ってると金がドンドン飛んでいくそうです。さっき言ったように、日頃から飲みに行ったりもしてるだろうし、管理人の会社のように周りに飲みが好きな人も多いだろうし。あと、このOB訪問で連れていってもらった店は決して安くはないのですが、毎日その辺りで昼飯を食っているというから、日々の出費も多いことでしょう。

残業は時期によるとのことピーク時は連日3時まで仕事、タクシーで帰ってシャワーと仮眠でまた出勤だそうです。何をどうやったらそんな非効率的な状況に陥るかわからないし、商社なんて所詮は古臭い日本企業らしいとこなんだから、なあなあの付き合い残業みたいなことをやってるんでしょう…(と思った)。まあ、激務なときは激務ですが、常に忙しい訳ではないようです。

(金言)商社に内定する人のスペックとは?

この人は財閥系商社1つと不動産大手の内定をもらっていたそうな(強い)。色々迷った結果、“人”という点を重視してこの会社に決めたらしいです。「学生時代は一日14時間は寝てた」、「学校なんて週2日くらいしか行ってなかった」と豪語するも、不真面目高学歴にありがちな“地頭の良さ”が話の中で感じられました。

説明会やOB訪問を通して商社マンを観察してきましたが、体育会系でも理系院生でも帰国子女でもなく、学生時代は普通のサークルで遊んできたんだろうなーって人は一定数います。だがしかし、そういう人は漏れなく地頭が高スペックだったり、本気を出せばすごい根性があったり、何か光る所があります。当たり前です。あれだけ就活生が押し寄せるんだもの。凡人はESや一次面接で一網打尽に刈り取られます。

この人は、普段から絶え間なく努力を重ねているかとうと、失礼ですが本当に普通です(知人の為、裏で何度か遊んでます)。ただ1点、人生のターニングポイントである、受験や就活では戦略を練って、最大限の集中力で(それぞれ)半年だけ頑張ったそうです

二人目の商社マン

2人目にOB訪問した方は、同じ会社のこれまた3、4年目の若手。今回はかなり真面目そうでカッチリした感じの静かな人です。部署はインフラ関係のとこで、海外でプラントを建てる仕事をやっています。

仕事内容は?

仕事はチーム制。この方の場合も漏れなくチーム制で、担当している仕事は、金を貸してくれている日本の銀行にプラント建設の進捗を報告するというものです。

まあ、正直に言っちゃえば、商社マンの仕事は良くて仲介人、悪く言えば組織の歯車の1つとのことです。(もちろんこれは個人の感想)。

銀行は金を貸してる事業が潰れたら損をする訳ですから、ちゃんと工事が出来ているか厳しく審査し、事業が危ういとなれば融資を引き揚げなければなりません。しかし、プラントを実際に海外で建設してるのは、どっかの国のよく知らん会社だし、プラントの技術的な話がわかるやつもいません。

だから、自分たちで審査なんてできまへんって訳です。そこで、商社マンが間に入って面倒なことを一手に引き受けます。英語で建設会社とやり取りして、英語の資料を銀行の人がわかるように日本語で整理し、「ちゃんと工事できてるで~」と報告する訳です。

もちろん管理人はこの仕事を否定しているのではありません。海外でプラントを建てるなんて壮大な事業で一人の人間が出来ることは限られていますし、若手がいきなり大きな仕事を出来る訳がないですので(とはいえ、この人はすでに半年ほど現場に行っていたようです)。

ただ、管理人が言いたいのは、そういった商社の地道な“裏方”としての側面を知らないアホな就活生が多すぎるということです。今後商社のインターン選考体験記でも書きますが、“世界を飛び回る商社マン”なんてイメージは捨てましょう

商社の本質は、人や組織の間に立って面倒ごとを引き受けること。そこでは徹底したリスク管理や情報収集など、地道な作業をコツコツ積み重ねています。ということは、日々の仕事はもっと地味で、チマチマ資料を読んだり、報告書をまとめたりしてるわけです。結局、組織全体で仲介人、組織の末端の社員は歯車に過ぎません。

このようにコツコツと地道な作業を積み重ねていった結果、全体としてみれば就活生がイメージする華やかな商社の事業になっています(メーカー、銀行、現地政府をまとめ上げてプロジェクトを引っ張っていくリーダーですみたいな)。

しかし、説明会でもホームページでもそればっかりキラキラに飾り立てて言うもですから、自分で考える知能を大学入学時に捨て去った就活生は勘違いするのです。

みんなが知りたい商社マンの年収と残業

書き忘れていましたが、年収は話の流れで聞けませんでした残業はプロジェクトの進捗状況によりけりで、OB訪問した時期はヒマだったから毎日6時か7時には帰っていたそうです。でも、一度トラブルがあった時は銀行に報告する資料の作成のために、夜の3時まで色々計算して残業してたらしいです。

(金言)事業投資とトレーディングでは社員のキャラが違う

これは一概には言えないそうですが、今回OB訪問した社員の方の部署は飲み会がかなり少ないようです。そもそも、海外の企業を相手に仕事をしているので、接待のような外との飲み会はほとんどなしだそうです。

一方で、「国内でのトレーディングはまだまだ人と人のウェットな付き合いで仕事が決まるような側面もあるので、接待はあるし、そういう所の社員は自分たちでも飲み会するよね」って感じです。

この方はもう少しオブラートに包んだ言い方をしていましたが、管理人がオブラートを剥がして言ってしまうと、『 事業投資は確実に頭を使うが、トレーディングは…ってことです。

座談会で「仕事に必要な能力は何ですか?」と聞いたら、事業投資の人は“ロジックの力・論理的思考力”って答えが多くて、トレーディングの方は“人たらしの力”、“交渉の力”、“相手の気持ちを感じる力”といった回答が多くありました。

もちろん会社と部署(もっと言えばチームのメンバー)によるだろうから、一概には言えません。そして商社には、新卒はどこに配属されるかわからず、配属後基本的に部門を越えた大きな移動はないという配属リスクがあります。なので、自分にあった部署に行けるかは運次第であることだけは覚えておきましょう。

(金言)商社マンに多い隠れ体育会系・帰国子女

いややっぱり、体育会系と帰国子女は明らかに多いんですよ。ただ、見るからにラグビー部でしたみたいな奴じゃなくて、物静かな小柄な人でも、実は体育会系って人も多かったって話です。

この人もそう。バリバリの体育会系ではないけど、普通に運動部所属。おまけに、小学校だか中学校のときに海外で暮らしてたという帰国子女。そのときにお世話になってた親代わりみたいな人がここの社員だったからというのが志望動機だそうです。

いかにも商社マンなガタイの良い奴、チャラそうな奴、エリート感あふれる奴じゃなくても隠れ体育会系、帰国子女ってのが多いんですよね。こういうのを聞いた一般ピープル(大学で遊び呆けてきた人)は焦るかもしれませんが、就活までまだまだ時間があります。

半年もあれば、研究を片手にTOEIC 900点とか、ビジネス書50冊読むとか、ワークショップやセミナーにたくさん出て猛勉強するとか出来るでしょ

まとめ

今回は とある総合商社でOB訪問したときの体験記 』を晒しました。

世間一般にある商社はキラキラした華やかなビジネスというイメージは捨てましょう。これは商社に限らず、どの企業の就活でも言えます。企業が説明会で言うビジネスの全体像だけじゃなくて、実際に社員一人一人が日々やってることも見ましょう

また、若手社員のOB訪問だと、部の雰囲気などは伝わりますが、仕事内容は、アウトラインしか話してくれないですね。商社の泥臭いビジネスの実態をさらに知りたい人はこの小説がおススメ。途上国のいい加減で理不尽な人たちに振り回されながら、飛行機のリース事業に奮闘する商社マンの話となっています。

商社のビジネスの概要を幅広く知りたい人はこちらが鉄板の本です。三菱商事の社員による講義を収録したもので、商社のビジネスモデルの基礎を学ぶのにうってつけです。

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