今回は『 文系就職をする理系院生が求められていること 』について、理系院卒ながら、総合商社などの文系就活を経験した管理人の意見をまとめます。
「研究はストレスたまるし、技術系の給料悪くね?それなら商社でも行ってモテモテ高給勝ち組ライフを歩むやで。最近は理系院生って就職有利なんやろ。行けるわ!」こんな風に思っている理系院生たちへ。
最近ではメーカー技術職以外の、いわゆる“理系の仕事”でない所でも理系院生の採用に力を入れているようですが、勘違いしてはいけません。彼らは“優秀な”理系院生が欲しいのであって、理系院生なら誰でもいい訳ではありません。
結論ファースト
記事の結論は以下の通りです。
- 理系院生に対して企業の要求水準も高い
- 能力面では高いスペックが必要
- 気力面では、熱い思いが必要
- 結局ライバルは同じ理系院生
学部生よりも要求水準は高い
最初に言っておきますがが、企業の要求水準も高いです。だって理系院生は2年多く生きてるんだから、学部生と比べて成長してるのは当たり前でしょ。
企業からすれば「学部でうちに入ったとしたら身につけられない何かを院の2年で得た人が欲しい。しかも、すぐに活躍できる地頭・ポテンシャルも欲しい。だって初任給は高いし」と考えているに違いません。
大学院の2年で“研究そのもの以外の何か”を身に付けていない院生なんかわざわざ採る価値などありません。学部生を自分たちで鍛えればよいのですから。
文系就職をする理系院生が求められていること
では、院生には何が求められているのでしょうか。能力面と気力面で1点ずつお伝えしましょう。
高いスペック(能力面)
管理人が能力面で見られていると考えるのはこの3点。
- 数字・ロジック・作文の力
- 成熟した大人としての教養
- 自分だけのプラスαの武器
この3点が揃った人こそ“高いスペック”を持った人であると考えています。自分のことや周囲の優秀な人を考えながら一読ください。
数字・ロジック・作文の力
これは理系院生なら出来て当たり前。出来てない人は就活で何とか大企業に入ったところで、将来「大学院でモラトリアムを楽しんだ人・・・」って思われかねないので、今日から真面目に頑張った方がいいです。
数字の力に関しては、就活で定量的に測れるのが筆記試験くらいなので、そこでヘマしないように。まあ、普通に少し対策をすれば一般人よりは点を取れるかと思います。
ロジックの力に関しては、日々研究で鍛えられているから、基礎は絶対にあるはず。あとは“ビジネス向け”のロジカルシンキングを学べば上出来です。ロジカルシンキングの基本と、それをグループディスカッションで使う方法、面接で使う方法を押さえておけば大丈夫です。
作文の力に関しても、少なくとも卒論を、人によっては学会投稿論文を書いているはずですので、普通にしてれば問題ないはず。理系院生で論文をしっかり書き、教授から赤ペンを入れられる経験のある人はESも同じような緊張感を持って書けば大丈夫です。
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成熟した大人としての教養
理系院生は普通の学部就活生より2年も長く生きています。それも若くて吸収力と熱意に富んだ時期における2年間をです。それはもう、学部生とは成熟度が全然ちがってて当たり前です。研究が忙しくとも、2年も多く生きています。本を読むなり、自学するなりして、成熟した大人の教養を身につけていて当然です。
周りでずば抜けて優秀な人と、普通の人を比べてみてください。学部生の頃より差が広がっていないでしょうか?優秀な人は手の届かないレベルまで行ってしまってはいないでしょうか?ただ学生生活を延長しただけの2年を過ごした人と、勉強に励んだ人の2年では雲泥の差です。
さて、小言はこの辺にして具体的に就活の面接に即していうと、たとえば商社で「総合商社の次のビジネスモデルって何か考えてる?」と聞かれたとしましょう。もちろん、理系院生といえど学生なので、社会人に敵う訳がありません。
ただ、学部生以上に“知識に裏付けされた論理・思考”を見せられる解答をしなくてはなりません。“元気のいい学部生がたどたどしくなりながらも、頑張って自分で考えてみました”という解答と同レベルではアウトです。
文系就職に興味がある理系院生よ。当然、政治、経済、世界情勢、ビジネスなどの情報は仕入日頃から仕入れていますよね?これらトピックでは学部生以上に理解度と自分の見解が求められます。「社会のことはよくわからんわ~」など言いながら、学科や研究室の仲間という狭い世界しか知らない人は、文系就職などやめておく方が良いです。自分で勉強する覚悟のあるやつだけが狭い世界から飛び出し、広い世界へ進む資格があります。
自分だけのプラスαの武器
文系就職をするなら、自己PRが「研究の実績があります。研究をめちゃくちゃ頑張りました」だけでは通用しません。入社後その知識を直接使う事は一切ないでしょう。したがって、“研究を通じて得た自分だけのプラスαの武器”で戦っていかなければなりません。
理系の技術者はある意味、看護師・薬剤師などと同じ専門職と思ってもよいです。研究分野は細かく分けられているため、“○○の分野を研究している人”が欲しいとなれば、実質候補は限られてきます。“○○の研究をしていること”がいわば専門資格みたいなものだ。だから通常の就活では「研究をしっかりやってました」というアピールで十分ですが、文系就職はそうはいきません。
熱い思い(気力面)
管理人が気力面で見られていると考えるのはこの1点。
- なぜ文系就職なのか考え抜く
文系就職する理系院生は「なぜ文系就職しようと思ったの?」という問いに対し、“自分のこれまでの経験に基づき、しっかり勉強して考え抜いた、ロジカルな志望動機”を説明できなければなりません。“熱い想い”とは、文系就職を決断した納得のいく理由を作り上げるまでの、よく勉強して考え抜く熱意のことです。
上で述べた成熟した大人としての教養とも関係しますが、“勢いだけの学部生の熱意”とはまた違う。「先輩もたくさん行ってるし、絶対商社がイイっす。ウホウホ」という体育会系学部生と同じ意味の熱さではない。あえて周りと同じ研究→技術系というレールから外れる道を選んだ想い、その想いに対して見合うだけの努力を見せる必要があります。
よくある志望動機は「○○の研究をしていた。アカデミックな世界に留まり、現実の問題を解決するのには遠かった。自分は今○○で困っている人たちのために何かしたいので、研究の道よりはビジネスを通じて直ちに○○解決に貢献する道を選ぶ」といった内容です。
こういった志望動機の場合、「本当にウチの業界でなければダメなのか?メーカーの開発部門じゃダメな理由は?」とか「○○の解決のアプローチを他に考えたか?」、「違う分野からでも○○の解決に間接的に貢献できるのでは?」といった点を考え抜く必要があります。
もちろん考えるだけで思い付かないなら勉強です。そうやって考え抜いた結果、「やっぱりその業界しかないと思います」と熱く語ることが出来れば、企業も高評価をしてくれるのは間違いありません。
結局ライバルは、理系院生
ここまで読んで、文系就職する理系院生はどんな風に考えて、就活を進めるべきかわかってきたのではないでしょうか?あくまで上記は、文系学生就職する優秀な学部生に対して、理系院生がディスアドバンテージとならないポイントです。
残念ながら出来て当たり前のことなので、これが出来たからといって「商社マンになってモテモテや。研究に明け暮れた大学生時代の失った青春を取り戻すで。」とはいきません。
企業だって理系院生が欲しいとはいえ、いくらでも採る訳ではありません。色んな人材をバランスよく採りたいので、理系院生としての椅子は限られています。結局、理系院生は理系院生同士で競争することになります。それも色んな分野から、わざわざ文系就職しようとする意識の高い学生が集まってくる理系院生たちと。
まとめ
今回は『 文系就職をする理系院生が選考前に考えておくこと 』についてまとめました。
- 理系院生に対して企業の要求水準も高い
- 能力面では高いスペックが必要
- 気力面では、熱い思いが必要
- 結局ライバルは同じ理系院生
結論、理系院生は甘い気持ちで文系就職をしない方がいいです。研究を犠牲にして就職活動に時間を費やし、もし失敗した場合、“研究が自己PRのメイン”である理系就職も不利になる可能性が高まります。もちろん先に文系就職を経験していれば面接慣れしているとはいえ、理系就職で肝心となる研究内容がスカスカとなり可能性があります。両者はトレードオフの関係です。
もう一度言いますが、必死でビジネスや経済を勉強する覚悟はあるよね?研究室の同期はインターンも全く行かず、律儀に3月1日から就活を始めるかもしれないが、自分ひとりでモチベーションを維持することは出来るよね??そして何より理系としてこれまで過ごしてきた数学・理科の世界から離れる覚悟はあるよね???
そして最後に問います。
茨の道で生きていく覚悟はある?????